外国での資料収集は疲れる。いくら言葉が出来ても、閉鎖的な日本の研究機関はおいそれと資料提供に応じてくれない。日本の規制緩和は、名ばかりで実がない。昔、コイズミが留学生10万人受け入れ計画というのを発表して、数だけは達成したそうだが、数の問題ではないでしょうが。
韓国の研究者が日本の研究機関に資料の請求をしようとすると、実に面倒なことが多い。特に国立大学。私立はコネクションがあれば、すんなりいく場合もあるが、国立、公立は相変わらず手続きが煩雑で、「そんなに見せたくないのか」と言いたいほどの排他性を感じる。もちろん韓国の場合も似たような状況があるが、コネクションさえあれば、日本よりスムーズに事が運ぶ。
百年に一度の経済危機だそうだが、韓国の場合は本当に深刻だ。来日中の留学生は死活問題だ。その日の為替レートは、100円=1,600ウォンを超えた。崔先生も、円高ウォン安のあおりを受けて、7万円もする日本の資料が実に高くついて、いやになったとこぼした。
4人で話込むうちに、崔先生が「危機はチャンスです」と言って、今こそ日韓の知的交流のために民間が動かなきゃだめだ、政府を当てにしていたら、いつになるかわからない、日韓で資料の相互公開に向けて協力すべき時だ、と言って、突然、自分の携帯(ローミングしてある)を取って、韓国の知り合いに電話し始めた。
電話の内容は省略するが、要するに、資料をウェブサイトで公開(会員制)して、民間レベルで双方の研究者や研究者の卵に貢献するという、実に壮大な計画である。私たちも出来ることを協力するということになった。もちろん著作権の問題は解決しなければならない。次回、会ったら、具体的なことを話すつもりだ。
まさに危機はチャンスだ。止むに止まれない事情の下、草の根で動くしかないということで私たちは大いに発憤した。折りしも、その日は李明博(イミョンバク)政権1周年、オバマの議会演説初日だった。韓国は大統領の任期があと「4年も!」残っていると国民は嫌気がさしているようだし、とてつもない赤字を抱えたアメリカは、希望の象徴オバマによってどこまで挽回できるか、そして日本は...、と考えてみるが、どうも期待できないんだなあ、これが。
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