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2009/02/05

星の王子さま

 私の愛読書というか、バイブルのようになっている『星の王子さま』。フランス語版、日本語版、そして韓国語版を持っている。語学の勉強にはいいテキストにもなっている。 

 この物語の中に、街灯の灯りを点けたり消したりしているおじさんが暮らす星が出てきたでしょ。あの星の話、なかなか含蓄があって私は気に入っている。日常の、無意味に思える繰り返しを象徴しているこの星のエピソード。王子が何を思ったか、よくわからないが、作者のサンテクジュベリの意図したことが最近なぜか重みを持って私に迫ってくるのだ。 

 朝、カーテンをしたまま韓国語の勉強その他をやり、そのうち朝刊が来て、それをざっと眺め、やがて日が昇り、カーテンを開ける。夕方は5時頃には暗くなるから、カーテンを閉めてTVをつけ、夕方のニュースを聞きながら、夕食の準備にとりかかる。  カーテンを開け、カーテンを閉める。そのことだけを見れば、なんの変化もない、同じ動作の繰り返しである。でもなんの変化もないということのありがたさをしみじみ感じるのである。こうして無事にカーテンの開け閉めを滞りなくやっていることの幸せ。これは何ものにも代えがたいことだ。  

 日常に飽き飽きしてくるとか、人間関係に嫌気が射すなんてことはよくある話だ。でもいったん何か事が起こったときには、その退屈な日常のありがたさを再認識するのも人間だ。もちろん変化を求める気持ちは誰にもあるだろう。日々の目的を失って、ただストレスだけが積もっていくといのが大方の現代人の日常かもしれない。  

 でも命の危険に晒されているわけではない。命がある程度保障された上で続く日常である。こんなにありがたいことがあるだろうか。命あってのモノダネ。そのありがたさを時々思い起こして今日もカーテンを開けよう。

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