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2009/03/30

韓国の劣悪な労働条件

 ILO(国際労働機関)で定めた、労働時間は週40時間を超えてはならないという規定があるよね。週5日制だったら、一日最長8時間×5=40で、ぎりぎりこの条件を満たしている。

 9時―5時勤務の場合、昼休みを除くと、一日7時間労働になる。7×5=35時間。これに、土曜出勤を考慮すると、土曜日はお昼まで勤務すると考えれば、+3時間、都合38時間になり、これも条件を満たす。 

   隔週土曜日勤務の場合は7×6で42時間になってしまう。35時間の週と42時間の週が交互にやってきて、平均すれば、40時間に満たないからOKということにはならない。週ごとに見て40時間を超えてはいけないからだ。 

 残業すれば、当然残業手当が出されなければならない。ところが、韓国で働いている20代、30代の会社員の実態を知るに及んで、驚愕するような事実にぶち当たった。

 残業手当もなく、夜中まで働いているのだ。隔週土曜日が休みだと言っても、土曜出勤の週の土曜日は平日と同じく5時6時まで働いている。いくら若いといったって、これでは身体をこわす。ILOの規準は、人間らしく健康に働ける最低ラインを示している。 

   日本に比べて、韓国の労働時間が長いのは昔からだった。朝8時出勤なんてざらだったし、銀行は4時過ぎまで窓口が開いていた。1997年当時からそうだった。日本に追いつけ、追い越せということなのか、誰も彼もよく働くのにびっくりしたことがある。12年前は週休2日制なんて、夢のまた夢の話だった。

 一流企業とされている、例えばSamsunなどは労働組合がない。大企業にすべて労働組合があるわけではないのだ。Samsunの内情を知る者は、管理管理の非人間的な組織の歪さを訴える。昨年、逮捕寸前まで行った李ゴニというサムソン立志伝中の会長、そしてその息子の様子を見ると、これは近代的な意味の株式会社ではないなあという感じを強く持った。ワンマン経営というより、これはサムソン王朝、サムソン帝国という世襲制の組織、機構の実態をあからさまにした事件だったと言える。で、結局、お咎めはなかったのだ。なぜか。そう、韓国そのものがサムソン帝国だから。 

 サムソンのためのサムソンによるサムソン帝国。これが韓国経済の中枢の一つを担う、一企業の実態である。王様のためには身を粉にして働く。滅私奉公などという死語が韓国ではまだ堂々と生きているのだ。  

 この労働環境は労働の末端にまで行き渡っている。韓国経済は実は零細企業で成り立っているのだが、サムソンほかの大企業が殿様商売をしていると見ればいい。労働者の労働条件など二の次、三の次にされている。  

 経済恐慌の今、日本でも派遣切りが進行している。派遣で成り立っていたのに、名ばかり正社員の救済が優先されている。でも、片方でワークシェアリングという発想も浸透してきた。限られた数の椅子取りゲームでは、埒が明かない、数少ない椅子を分け合うということだ。  

 経済停滞などと言っているが、今までが働き過ぎだったのだ。何に向かって突っ走ってきたのか。より豊かな生活を得るためか。豊かさの内容が問われるようになって、多くの労働者が現場を見直すようになった。大きいことはいいことだという時代はとっくに終わった。量より質に目が向き始めたのだ。 

 スピードもこの際、二の次だ。良いものをゆっくり時間をかけて追求する。コンピューターに出来ないことを人間の手に取り戻すということだ。 

 韓国は土建屋の親父みたいな大統領が、言論の自由を抑圧しながら、まだ開発に血道をあげている。若者を中心にゼネストの動きもあるし、日本の大麻吸引学生に比べれば、まだ学生の政治意識は高い。それでも実社会に出ている若者の話を間近に聞くと、見えない何かに絡め取られている実態が見えてくるのだ。

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