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2009/03/15

2カ月ぶりに美容院へ、そしてマーシャルのこと。

 気温はさほど高くはないが、日が射して春の陽気だ。2カ月ぶりの美容院。いつものようにショートカット。目をつぶって切ってもらっている間に、晋州で通っていたマーシャルの美容室のことを思い出した。マーシャルは、どうしているだろう。相変わらず店はゴタゴタして、おしゃべりなアジュモニたちで賑わっているんだろう。留学の2年間、毎月1回通っていた、中央市場に近い韓方薬局の3階にあった古びた美容院。1階の薬屋からいつも漂っていた漢方薬の匂いと、支払いを済ませたあと、ニッっと笑って、「いつでも遊びにおいで」と言ってくれたマーシャルの温かいまなざしが忘れられない。結局、カットの日以外に彼女を訪ねたことは一度もなかった。慶南サトリの強いマーシャルと対話が成り立つとも思えなかったし、月に一度、彼女の顔を見れば、私はそれで満足だった。 

 春が来て、晋州の乾燥した春も思い出した。山火事があちこちで起きて、大気は極端に乾燥し、喉の弱い私はいつも春に寝込んだものだ。たいして熱が出るわけでもないのに、喉の痛みといつまでも続く乾燥に身体がついていけなくなるのだ。ワンルームでひとり横になっていると、異国の空の下、私はひとりなんだなあとしみじみとした気分になる。ひとりでいることをこよなく愛するにしても、やはり今でも大陸の春の乾燥を思い出すと、そこはかとない荒涼とした気分に浸れる。 

 チンダルレが咲いて、ケナリのまっ黄色の大群に圧倒され、サクラが咲き始めると、晋州は暑くなってくる。その陽射しの強さは、韓国南部特有の日の光だ。冬もさほど寒くならず、オンドルの温もりに怠惰な日々が流れていく、そんなことを美容院の椅子に座ったままありありと思い出して、近いうちに晋州に行きたいという衝動にかられた。

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