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2008/10/07

秋夕(チュソク)は旧盆ではない。

 10月6日付け毎日新聞夕刊「アジアNOW」というコラム「クォン・サンウ電撃結婚」という記事(ライター=瀧谷由紀)を見て、「ああ、またか」と思った。文章の出だしで「チュソク(旧盆)」と書いているのだ。 

 Gamila日記で何度も触れたように、韓国の秋夕(チュソク)は日本の旧盆とは異なる行事である。「中秋の名月」を仰いで、秋の実りを祈る行事だ。もちろん故郷に家族が集まり、お墓参りもするし、民族大移動のために高速道路は渋滞になる。その点は旧盆に似ているが、行事の趣旨は全く違う。どうしていつまでも間違った情報がまかり通るのか。ライターと称しているのであれば、きちんと勉強してほしいものだ。プロで食ってるのならなおさらだ。

 韓国には名節(ミョンチョル)と呼ばれている行事が年2回ある。1つがソルラル、もう1つがこのチュソクである。ソルラルは旧正月のことで、中国でも同じように行われる。横浜の中華街で爆竹が鳴るニュース、よく見るでしょ。旧暦の正月だから毎年時期が移動する。

 チュソクも旧暦で行われるから毎年日にちがずれていく。私が経験した最も早いチュソクは8月の末だった。あとは大体9月、遅くて10月だ。8月末がチュソクだった年、1997年だったが、あの年の冬は寒かった。  

 ついでに書いておくと、日本の春分の日、秋分の日のお墓参りの習慣は韓国にはない。韓国では亡くなった人の命日に家族が集まる。お盆の習慣もない。迎え火、送り火をして死者を祀るということはない。これは仏教から来たのか、あるいは神仏混合的なものなのか、私はよく知らない。  

 韓国では国民の3割がクリスチャン、仏教徒も3割、残りは無宗教か、在来宗教である。日本はクリスチャンが人口の1%しかいないし、仏教に関しては葬式仏教だ。それでも8月の旧盆の民族大移動はいまだに続いている。宗教的儀式というより生活習慣だと考えてもいいような気がする。  

 「中秋の名月」を祝い、秋の実りを祈る秋夕(チュソク)を日本の「旧盆」になぞらえるのはもうやめにしてほしい。

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