?十年前の入居説明会での不動産屋の最初の一言。「この建物も60年後には瓦解します」。がかい? そう崩壊してしまうのだ。何も入居前に脅しを入れなくたっていいのにね~と、当時はそれでものんびり構えていたものだ。だって60年後よ。生きてるかどうかだってわからない、本当に遠い遠い未来の話だったのだもの。
ところがその瓦解年齢にだいぶ近づいてきたこの頃、冷静に考えてみるのだ。では、あの原宿や代官山の同潤会系のアパートはなぜしっかり残っているのか。あれは確か、大正時代、関東大震災の後、建設されたはずのもの。少なくとも85年は経っている、瓦解せずに。
コンクリートに関しては、この間さまざまな問題点が指摘されてきて久しい。海砂を混ぜて作ったコンクリートのひび割れ問題に端を発し、コンクリート寿命70年説はそれこそ見事に崩壊し、思いの外その耐用年数は短いということだ。
ヨーロッパの諸都市に見える建造物はコンクリートなどというナマッチョロイ代物ではない。石だもの。部分的には大理石だったりするし。天然物がいかに優れ、人工物がいかに劣っているかという根源的な問題に改めて突き当たるのである。
幼い頃からアパート暮らしが長かったので、一戸建てに暮らす知恵も望みもないが、集合住宅を建て替える例は、日本ではまだまだ少ない。土地さえあれば、木造だろうがなんだろうが個人の意思で建て替えることができる。
アパート暮らしの悲哀を感じないでもないが、それでも私は一生アパート暮らしから足を洗えないだろうなあ。
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