今日、9月28日は父の三回忌だ。2006年に突然亡くなってから2年経つが、速かったような遅いような、なんとも形容のし難い2年だった。
実は私は父の死に目に会えなかった。突然亡くなったのではなく、亡くなってから約半月後にその死を知らされたのだ。それも偶然に。亡くなる前に一度でも会って、ゆっくり話をしていたらどんなに良かっただろうと、この2年間、父を思い出すたびに私は泣いた。
私は父にとって最初の娘だった。弟もそうだったが、私たちは本当に愛された。父はそれほど口数の多い人ではなかったが、ア ルコールが入ると上機嫌になって、私たちとスキン・シップを図った。ウイスキーの匂いも、ヘビー・スモーカーでやや黄ばんだ父の指も、今では懐かしくてたまらない。
幼い頃は外で飲んできて、バーでもらったお土産の胡桃をいくつか持って帰ってきたものだ。父の指と同じようにいい飴色になった胡桃と、それを割って私たちに食べさせてくれた父の姿、そしてなんとも香ばしい胡桃の味。私はその夜のシーンを繰り返し繰り返し思い出したものだ。
私は父親っ子だった。幼い頃から「父に似た娘」として、父の自慢の娘として大切に育ててもらった。甘やかされることは決してなかった。甘やかされることと、可愛がられることは全然違う。
人生で何が大切なのかについて、私は父から学んだような気がする。仕事熱心な父の後姿を見て成長していったような気がする。そして結局父は私に死に顔を見せることなく、まるで象が仲間の誰にも知られずに静かに死に場所を求めて移動していくように亡くなってしまったのだ。
父さん、私は父さんが大好きでした。そのことを一度も告げられなかったことが哀しいです。私の思いは天まで届くでしょうか。とにかく安らかに穏やかにそちらの世界で過ごして下さい。私があの世に行ったら、話の続きをしましょう。約束して下さいね。
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