今回もチャンシキさんと朝から会うという話を電話ですると、「それじゃ、お昼を3人で食べるのもいいんじゃないかな」と言ったのである。にもかかわらず、彼は午前中に登場しなかった。前日に晋州からバスでソウル入りしたことは知っているし、何よりも彼は元来時間にルーズな方なので、たぶん午後になってからでないとソウル駅に現れないだろうと踏んでいた。
思ったとおり、姿勢の悪い歩き方でソウル駅の1階にある現代百貨店のロビーにやってきた。昨年6月に会ったときより太った感じだ。それを言うと、「顔だけ太ったんです」とブスッとした表情で答えた。唇に吹き出物も出来ていて、身体の調子が悪いのが一目でわかる。チャンシキさんとも軽く挨拶を交わしただけ。「とにかくお昼をたべなきゃね」私たちは先ほど食べた韓式レストランに彼を連れて行った。ピピンパプをすごい速さで食べていく。「おいしかった?」と聞くと、「まずい」のひと言。
さてそれからはチャンシキさんが日本語学校の先生に本を頼まれていたというので永豊文庫に向かう。天気もいいし、日を浴びながら3人で歩いていった。チャンシキさんはその間じゅう日本語で私に話しかける。私も始めのうちは日本語で答えていたけど、日本語をまったく解さないオリンワンジャがかわいそうなので、日本語の問いかけに韓国語で対応することにした。それでもオリンワンジャのご機嫌は麗しくならない。困ったもんだ。
永豊文庫でチャンシキさんが本を探している間に私たちは地下のカフェで待つことにした。オリンワンジャと二人きりになったところで、開口一番「彼女はいつまで僕たちにくっついてくるのか」と言った。「えっ、だってお昼を3人で食べようと言ったのは君じゃないの。最初は彼女とは朝食だけ付き合うことにして、午後の時間は君のために空けておいたのよ。なのに連絡もないし。そもそも晋州にいたから今回はソウルにやってこないかもしれないと思ってたのよ。昨日、こちらからたまたま電話したら、『今、晋州からソウルに向かっているバスの中です』と言うじゃない。私はてっきり晋州で引き続き休養するのかと思ったわよ。連絡を密にしないから、一体何を考えてどうしようとしているのかわからないじゃないの」
文句を言っても始まらないので、彼の希望通りチャンシキさんが戻ってきてから私ははっきり言った。「実はオリンワンジャが相談事があって、この後は二人きりになりたいと言っているの。申し訳ないけど、ここで別れましょう」
チャンシキさんは、「いいですよ。元々朝食だけでもご一緒できればいいと思っていたんですもの。お昼まで一緒にいられてよかったです」私は彼女のスナップ写真を1枚撮ったが、その表情はちょっと無理して笑っているように見えた。
で、結局午後2時半から夜9時半までオリンワンジャと付き合う事になった。彼は仕事の件、身体の不調、近い将来のことなどいろいろと考えていることをしゃべった。寡黙な技術者の彼が将来のことも考えて営業部門の勉強もするつもりだと言ったのが心に引っ掛かる。今年の7月で入社丸4年になる外資系会社も今は一時退職して静養休暇を取っている。来週再入社して営業畑で修業することはもちろん社長も承知している。ただ、この社長が今ひとつヒューマンではないのが気になる。英語ぺらぺらで、韓国支社を立ち上げた実力者には違いないのだが、人徳がないようで、いつまで経っても彼の右腕となる社員を育てることができないようだ。彼自身に魅力がないようにも思える。
「夏休みはがまんして貯めておいて、10月になったら母さん(私のこと)のところに行くから」
そんなことよりも胃腸と肝臓の調子を何とかしなきゃね。こちらとしては快癒を祈るばかりだ。
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